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宙を見上げる力を、もう一度──『宙わたる教室』を読んで

こんにちは。ミサゴパパです。 本を読み終えたあと、しばらくページを閉じたまま、天井を見上げていました。伊与原新さんの『宙(そら)わたる教室』は、派手な事件が起こるわけでも、劇的な奇跡が連続するわけでもありません。それなのに、胸の奥にじんわりと熱が残り、「人が学ぶ」ということの本質を、静かに、しかし確かに突きつ
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推理する快感、その極限へ――深水黎一郎『ミステリー・アリーナ』を読み、映画化に思うこと

こんにちは。ミサゴパパです。 本屋で平積みされているのを見かけてから、ずっと気になっていた一冊がありました。深水黎一郎さんの『ミステリー・アリーナ』。「本格ミステリー好きなら避けて通れない」と言われる理由を、読み終えた今、はっきりと理解しました。 この作品、ただの“謎解き小説”ではありません。
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種明かしの先に残るもの――『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』を読んで

こんにちは。ミサゴパパです。 東野圭吾さんの作品はこれまで数多く読んできましたが、『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』は、少し毛色の違う、しかし年齢を重ねた今だからこそ深く沁みてくる一冊でした。 この作品は連作短編集で、いくつかの物語が静かにつながっています。名探偵が鮮やかに謎を解く、というよりも、
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婚活を笑えなくなったときに読む一冊—宮島未奈『婚活マエストロ』が突きつける「本気」の正体

こんにちは。ミサゴパパです。 正直に言えば、最初は少し身構えていました。「婚活」「マエストロ」「三文ライター」――どこか軽やかで、よくある“婚活あるある小説”なのだろうと。けれど、宮島未奈さんの『婚活マエストロ』は、そんな予想を気持ちよく裏切ってくれました。 この物語の主人公は、40歳の三文ライター・猪
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“命の秘密”に触れてしまったとき――山口未桜『禁忌の子』が突きつける医療と人間の境界線

こんにちは。ミサゴパパです。今回ご紹介したい一冊は、山口未桜さんの医療ミステリー小説『禁忌の子』です。読み終えたあと、しばらく本を閉じたまま考え込んでしまいました。それほどまでに、この物語は単なる「謎解き」を超えて、私たちの価値観や倫理観に深く踏み込んでくる作品だったのです。 物語の始まりは、非常に衝撃的です。
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人魚は本当に逃げたのか──青山美智子『人魚が逃げた』を読んで考えた、人生の「手放す瞬間」

こんにちは。ミサゴパパです。 青山美智子さんの小説を読むたびに思うのは、「この人は、人生の“静かな曲がり角”を書くのが本当にうまいなあ」ということです。 今回読んだ『人魚が逃げた』も、派手な事件が起きるわけではありません。それでも読み終えたあと、心のどこかに、ぽっかりと余白が残りました。そしてその余白が、じ
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人生の“平場”で、もう一度出会うということ――『平場の月』を読んで

こんにちは。ミサゴパパです。 朝倉かすみさんの『平場の月』を読み終えたあと、しばらく本を閉じたまま動けませんでした。物語として大きな事件が起こるわけではありません。それなのに、胸の奥にじわじわと染み込んでくるものがありました。 主人公たちは、若さも勢いも過ぎ去った年齢に差し掛かった男女です。
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人生はリセットできないゲームだった──『令和元年の人生ゲーム』を読んで

こんにちは。ミサゴパパです。 麻布競馬場さんの『令和元年の人生ゲーム』を読み終えて、しばらく本を閉じたまま考え込んでしまいました。読みやすい文体なのに、心の奥にじわりと残る。そんな不思議な読後感のある一冊でした。 タイトルにある「人生ゲーム」という言葉。子どもの頃に遊んだ、サイコロを振って進むあのボードゲームを
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海と空と大地がつないでくれる物語|『藍を継ぐ海』を読んで心が震えた理由

こんにちは。ミサゴパパです。先日、第172回直木賞を受賞した伊与原新さんの『藍を継ぐ海』を読みました。読んだ後、胸の奥に静かに染み込んでいくような余韻が残る、とても優しく、深い物語でした。 徳島・北海道・山口と、日本各地を舞台に描かれる五つの短編。それぞれの物語は独立していながら、共通して「自然の長い時間」と「人
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お金を“配る”時代の終わりへ――前澤友作氏『国民総株主』を読んで感じた可能性

こんにちは。ミサゴパパです。今回は、実業家・前澤友作さんの初の著書『国民総株主 ― 国民みんなが株主になったら、この世界はきっと変わる』を読んだ感想を、私なりにまとめてみたいと思います。 ■ “お金配り”から“株を配る”へ 本書の冒頭、前澤さんは「お金配りは、もうしません」と宣言します。これは、か