
こんにちは。ミサゴパパです。
元日の国立競技場。
箱根駅伝や初詣の話題に包まれるこの日に、女子サッカーの皇后杯決勝が単独開催されたこと自体、時代の変化を感じずにはいられませんでした。そして、その舞台で歴史を動かしたのが、サンフレッチェ広島レジーナでした。
広島が皇后杯で初優勝。
それも、相手はWEリーグ首位のINAC神戸。
結果だけ見ても十分に価値のある勝利ですが、試合内容を振り返ると、そこには「偶然」では片付けられない必然があったように思います。
前半、広島は落ち着いていました。
中嶋淑乃選手を左サイドに据え、ボールを動かしながら相手の守備をじわじわと崩していく。31分、左サイドの連係から李誠雅選手が決めた先制点は、まさに狙い通りの形でした。「ああ、今日は広島の日かもしれない」と、そんな予感がよぎった瞬間でもありました。
しかし、サッカーはそんなに甘くありません。
後半開始早々のPK失敗。決めていれば試合を大きく引き寄せられた場面で、流れは一転します。決定機を逃し続けた末に失点。スタジアムの空気が一気に張り詰めたのが、画面越しにも伝わってきました。
それでも、広島は崩れなかった。
この「崩れなかった」という点が、今回の優勝を語るうえで最も重要なポイントだと思います。リーグ戦では勝ち切れない試合が続いていたチームが、トーナメントという一発勝負の舞台で、最後まで自分たちを信じ切った。

そして迎えた後半アディショナルタイム。
ゴール左に生まれた、ほんのわずかなスペース。
そこに入り込み、迷いなく足を振り抜いた中嶋淑乃選手のシュートが、ネットを揺らしました。
延長に入れば体力的にも厳しい。
だからこそ、「この一瞬に賭ける」という覚悟が、あの一撃に凝縮されていたのだと思います。中嶋選手のコメントからも、「チームに優勝をもたらしたい」という強い思いがひしひしと伝わってきました。
赤井秀一監督の言葉も印象的でした。
「リーグ戦では勝ち切れない中で、トーナメントで勝ちながら成長している」
この言葉どおり、広島は“勝ちながら強くなる”段階に入ったのかもしれません。
元日の国立競技場で、女子サッカーの決勝が単独開催され、満員に近いスタンドで歓喜が生まれる。
この光景は、日本の女子サッカーが確実に前へ進んでいる証だと思います。そして、その象徴的な瞬間に広島レジーナが立ち会ったことは、クラブにとっても、ファンにとっても、忘れられない記憶になるはずです。
勝負を分けたのは、技術や戦術だけではありません。
「最後の最後で、もう一歩踏み出せるか」
その差が、元日の国立で明暗を分けました。
広島レジーナの初優勝は、単なるタイトル獲得ではなく、女子サッカーの未来を明るく照らす一撃だった。
そんなことを、静かに、しかし確かに感じた元日でした。

それにしても、元日の国立競技場という舞台は不思議な力を持っています。
新しい一年が始まるその瞬間、人はどこか前向きで、希望を信じやすくなる。そんな空気の中で見た広島レジーナの戦いは、「今年はきっと良い年になる」と、自然に思わせてくれるものでした。
女子サッカーは、まだまだ発展途上の部分も多い。
観客動員、報道の量、育成環境――課題を挙げればきりがありません。けれど、こうして国立の大舞台で、最後まで息をのむような試合が繰り広げられる現実を目の当たりにすると、「もう十分に“見る価値のあるスポーツ”として根付いている」と感じます。
個人的には、PKを外した後の広島の姿が強く印象に残っています。
うつむく選手もいましたが、誰かを責める様子はなく、すぐに切り替えて次のプレーに集中していた。チームとして積み上げてきた時間と信頼関係が、あの一瞬に表れていたように思います。
そして、決勝ゴールの場面。
あれは「たまたま空いたスペース」ではなく、「最後まで狙い続けていたスペース」だったのではないでしょうか。体力が限界に近づく中でも、ゴールを奪うイメージを手放さなかったからこそ、中嶋選手は迷わずそこへ走り込めた。勝負どころでの一歩は、普段の積み重ねからしか生まれません。
家族と一緒にこの試合を見ていたとしたら、子どもたちは何を感じただろう。
「女子サッカーってすごいね」
「最後まで諦めなかったね」
そんな何気ない一言が、将来どこかで芽を出すかもしれません。スポーツの力とは、そういうものだと思っています。

広島レジーナの初優勝は、過去を振り返るためのタイトルではなく、これからの可能性を大きく広げる優勝です。
次はリーグ戦での安定した勝ち切り。
そして、常にタイトル争いに名を連ねる存在へ。
元日の国立で生まれたこの物語が、単なる「いい思い出」で終わらず、日本女子サッカーの新しい日常へとつながっていくことを願わずにはいられません。
新年の始まりにふさわしい、胸のすくような一戦。
広島レジーナの皆さん、本当におめでとうございます。
そして、この試合を見て心が少しでも動いた人がいるなら――
それこそが、この皇后杯決勝がもたらした、何よりの“勝利”なのかもしれません。





コメント