がんにウイルスを使う時代へ —「希望の治療」として注目されるウイルス療法とは

こんにちは。ミサゴパパです。

「がん治療」と聞くと、手術、抗がん剤、放射線治療――。
多くの方が、つらい副作用や長い闘病生活を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし近年、そんながん治療の常識を大きく変えるかもしれない、新しい治療法が注目を集めています。
それが 「ウイルス療法(がんウイルス療法)」 です。

ウイルスと聞くと、「感染症」「怖いもの」というイメージが先に立つかもしれません。
ところがこの治療法では、そのウイルスの性質を“逆手”に取り、がんと闘う味方として使うのです。


■ がん細胞だけを狙う、不思議なウイルス

ウイルス療法の最大の特徴は、
がん細胞の中でだけ増えるように人工的に改変されたウイルスを使う点にあります。

このウイルスは、

  • 正常な細胞では増えない
  • がん細胞の中でのみ増殖する

という性質を持っています。

つまり、ウイルスが感染しても、
壊されるのはがん細胞だけ
正常な細胞へのダメージは最小限に抑えられるのです。

がん細胞の中で増えたウイルスは、やがて細胞を内側から破壊します。
これにより、がん細胞そのものが消えていく――
非常にシンプルで、理にかなった仕組みです。


■ がんを壊すだけでは終わらない「もう一つの力」

ウイルス療法が「希望の治療」と呼ばれる理由は、
単にがん細胞を壊すだけではありません。

がん細胞が破壊されると、その情報が免疫細胞に伝わり、
体の免疫が「これは敵だ」と学習するのです。

その結果、

  • 見えていない小さながん
  • 別の場所に転移したがん

にも免疫が働く可能性が出てきます。

これは従来の抗がん剤治療にはなかった、大きな強みです。


■ 日本発のウイルス療法がすでに実用化

このウイルス療法は、決して夢物語ではありません。
日本ではすでに、脳腫瘍の一種「悪性神経膠腫」**に対して、

  • がん治療用ウイルス G47Δ(デルタ)
  • 一般名「テセルパツレブ」

2021年に国の承認を受け、保険適用 されています。

特に予後が非常に厳しい「膠芽腫」の治験では、
治療開始から 1年後の生存率が84% という、
これまでの常識を覆す結果が報告されました。

従来治療では1年生存率が10%台とされてきた病気です。
この数字が持つ意味は、決して小さくありません。


■ 皮膚がん「悪性黒色腫」への挑戦

現在、このウイルス療法は
皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」 にも応用されようとしています。

さらに進化した第三世代のウイルスでは、
免疫を強く刺激する遺伝子を組み込み、

  • がんを壊す
  • 免疫を本格的に目覚めさせる

という、より強力な治療効果が期待されています。

副作用も比較的軽く、
一時的な発熱などにとどまっているという報告が多い点も、
患者さんにとって大きな安心材料でしょう。


■ 他の治療と「対立しない」新しい選択肢

ウイルス療法は、
手術・放射線・抗がん剤と“競合する治療”ではありません。

むしろ、

  • 手術ができない場合
  • 転移がある場合
  • 免疫療法と組み合わせる場合

など、治療の選択肢を広げる存在として期待されています。

将来的には、

  • 手術前にがんを小さくする
  • 再発を防ぐ目的で使う

といった形で、がん治療全体の流れが変わっていくかもしれません。


■ 「がんは怖い病気」から、「闘える病気」へ

がん治療は、ここ数十年で大きく進歩しました。
そしてウイルス療法は、その進歩の延長線上にある、
次の時代の治療だと感じます。

すぐにすべてのがんが治るわけではありません。
しかし、確実に「希望の光」は増えています。

がんは、
ただ耐えるだけの病気ではなくなりつつある――
そう感じさせてくれる治療法が、ウイルス療法なのです。

この治療が一日も早く広がり、
多くの患者さんとその家族に、
新しい選択肢と希望をもたらしてくれることを願わずにはいられません。


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