
こんにちは。ミサゴパパです。
晩秋の新宿御苑を歩いていると、木々の葉が少しずつ色づき、地面には落ち葉が静かに積もっていました。そんな中で、ふと目を引いたのが、緑の葉の間から顔をのぞかせる黄色いつわぶきの花。その明るさは、秋の終わりに差し込む小さな太陽のようで、思わず足を止めて見入ってしまいました。
つわぶきは漢字で「石蕗」と書きます。名前の由来には諸説ありますが、ツヤのある蕗(ふき)のような葉を持つことから「艶蕗(つやぶき)」が転じたともいわれます。確かに、光沢のある葉は、曇り空の下でも静かに輝き、強い生命力を感じさせます。
この植物はキク科の多年草で、主に暖かい地方の海辺や岩場に自生します。冬でも緑を保つ常緑植物で、古くから庭園の植え込みや石垣の間などに好んで植えられてきました。京都や鎌倉の寺院などでもよく見かけます。
花の少ないこの季節に咲く黄色い花は、見る人の心を明るく照らします。
花言葉は「困難に負けない」「謙譲」。どちらも、寒さの中でも静かに花を咲かせるつわぶきの姿にぴったりですね。派手さはないけれど、どこか凛とした強さを感じる――そんな花です。
私は、この“控えめな美しさ”に日本の美意識が表れているような気がします。桜のように一瞬で散る華やかさではなく、静かに、長く、そして誇り高く。晩秋の陽だまりの中で咲くつわぶきの姿に、季節の移ろいとともに生きる喜びを教えられたような気がしました。

古くから日本人は、つわぶきを“冬を告げる花”として愛でてきました。
茶花としても重宝され、茶室の床の間にそっと飾られることもあります。
侘び寂びの精神に通じるようなその控えめな姿は、華やかさを求めない、静かな美の象徴でもあります。
また、つわぶきは食用や薬草としても用いられてきました。
若い葉柄やつぼみは食べることができ、山菜としても親しまれています。
さらに、根茎には解毒作用や咳止めの効果があると伝えられており、昔の人々の暮らしの中では、単なる観賞植物以上の存在でした。
面白いことに、つわぶきは地方によって呼び名が異なります。
九州では「つわ」と呼ばれ、特に長崎や熊本では春の郷土料理として“つわの煮物”が有名です。
艶やかな葉が一年を通して青々としていることから、“永遠”“不変”の象徴として、庭の縁起植物にもされています。
私は新宿御苑でこの花を見ながら、「人の生き方」について少し考えました。
激しく咲いて散る花も美しいけれど、ひっそりと、しかし確かな存在感で咲き続ける花にもまた、深い魅力があります。
周囲の紅葉が風に舞う中で、変わらずそこに咲くつわぶきの姿は、移ろう季節の中で「自分らしくあり続けること」の大切さを教えてくれるようでした。
晩秋の風に揺れる黄色い花を見ていると、寒さの中にも温もりがあり、静けさの中にも生命の息吹がある。
そんな日本の秋の情景を、今年もまた、心の中に刻むことができました。







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