涙の初V。エディオンが魅せた“32回目の挑戦”――クイーンズ駅伝2025が教えてくれたもの

こんにちは。ミサゴパパです。

11月の澄んだ空気の中で行われた第45回 全日本実業団対抗女子駅伝――通称クイーンズ駅伝。
毎年この日になると、ただ“勝ち負け”だけでは語れない、企業チームの物語が道の先に見えてくる。けれど、今年ほど胸を揺さぶられた大会はなかったかもしれない。

エディオン、32回目の挑戦にして初優勝。
この一行だけで、もうすでにドラマは完成している。
だが、その裏側には、積み重ねてきた涙と悔しさ、そして信じ続けた時間が静かに横たわっている。

1区の水本佳菜の快走は、まだ朝の光の中で未来を切り開くような走りだった。20歳という新しい世代が、まるでチームの歴史を塗り替える合図を出すかのようにトップでタスキをつなぐ。続く新人・塚本夕藍の落ち着いた走りも、まるで「怖いものなど何もない」と言っているように見えた。

しかし、駅伝はいつもそう簡単にはいかない。
エース区間で他チームが怒涛の追い上げを見せると、外国人選手が躍動した4区で逆転され、エディオンは一度先頭から滑り落ちてしまう。「今年も届かないのか」――そんな予感が背中に乗りかかってくる瞬間だった。

だが、チームは諦めなかった。
5区、細田あいが見せたあの逆転劇。41秒差という現実を前に、それでも淡々と、しかし力強く前を追う姿は、見ているこちらの胸まで熱くしてくれた。そしてついに捉え、抜き去り、エディオンは再びトップへ返り咲く。

そのタスキを受けた最終区の平岡美帆は、まさに「守りきる」という覚悟を体現していた。後ろから迫る日本郵政の気配に揺れながらも、決して顔を崩さず、最後の直線に飛び込んでいく。その瞬間、沿道の空気がひとつ震えたように感じた。

フィニッシュテープを切ったあと、選手たちが涙を流しながら抱き合う姿は、駅伝という競技の魅力をすべて詰め込んだような光景だった。華やかさよりも、泥臭さや誠実さ。すべてを走りに込めた者にしか見えない景色が、そこにはあった。

「オール日本人での初優勝」。
これは、時代が移り変わっていく中で、ひとつの強いメッセージになったように思う。
外国人選手の存在が当たり前になったクイーンズ駅伝で、あえて全員日本人で挑み、結果をつかんだという事実には、特別な重みがある。

駅伝には、時間の積み重ねを信じる勇気が宿っている。
結果が出ない年も、苦しい時期も、誰かがタスキを繋ぎ続けてきたからこそ、その先に今日の景色がある。エディオンはその象徴のようなチームだった。

来年のクイーンズ駅伝も、またきっと新しいドラマが生まれるだろう。
でも私はしばらく、この日の余韻を大切にしていたい。
選手たちの涙と笑顔が、今年の冬を静かに温めてくれるような気がしている。

そして――物語はフィニッシュテープのその先にも、静かに続いていく。

優勝会見で、選手たちは何度も「仲間」という言葉を口にした。
タイムよりも、順位よりも、まず最初に浮かんだのが“誰と走ってきたか”という事実だったことが胸に沁みた。
水本が「みんなが前を走ってくれると思ったら怖くなかった」と言えば、細田は「逆転できたのは、私にタスキを託してくれたみんなのおかげ」と笑った。
平岡は、最後の直線を思い出したのか、言葉を詰まらせながら「絶対に戻さないといけないと思った」と語った。

そこには、勝利の影に積み上がった時間が、確かに形となって宿っていた。

エディオンは、エリート集団というイメージとは少し違う。
誰かが突出して強かったわけでも、簡単に勝てる力を持っていたわけでもない。
むしろ、あと一歩で届かない悔しさを、何度も飲み込んできたチームだ。
だからこそ、その一歩を埋めるために費やした日々が、今年の6人の背中を押したのだと思う。

負け続けた時間は、無駄ではなかった。
悔しさは、消えずに残るのではなく、静かに積み重なって“強さ”になる。
それを証明してみせたのが、今年のエディオンだった。

そして、レース後の空に広がった冬の光景は、どこか特別に見えた。
選手たちが肩を寄せ合って笑い合う姿の向こうで、11月の冷たい風が優しく吹き抜ける。
その風はまるで、「これからも走り続けていいんだよ」と言っているかのようだった。

駅伝は一日で終わるけれど、その物語は一年かけて紡がれる。
今日見せてくれた景色は、来年の挑戦へとつながっていく。
彼女たちの背中を見ながら、応援する側もまた、一年後を quietly 夢見てしまう。

クイーンズ駅伝は、ただの競技ではなく、人生そのものを縮めたような舞台だ。
喜びも悔しさも、栄光も葛藤も、すべてがタスキに染み込んでいく。

今年、エディオンがつかんだ初めての栄冠は、
「努力は裏切らない」という言葉を、少しだけ信じてみようと思わせてくれる。

そしてこの冬の空気が澄んでいる限り、
私たちはまた走り出す選手たちを見つめ、胸を熱くするのだろう。

【結果まとめ】

上位8チーム(クイーンズエイト)は次回大会シード権獲得。

順位チーム名記録
1エディオン2:13:50
2JP日本郵政グループ2:13:57
3積水化学2:14:51
4三井住友海上2:15:47
5資生堂2:16:08
6ユニクロ2:16:22
7天満屋2:16:29
8しまむら2:16:41
9ダイハツ2:17:02
10岩谷産業2:17:21
11豊田自動織機2:17:24
12スターツ2:17:27
13パナソニック2:17:41
14シスメックス2:17:43
15第一生命グループ2:17:44
16ユニバーサルエンターテインメント2:17:45
17京セラ2:18:10
18肥後銀行2:18:11
19大塚製薬2:18:22
20東京メトロ2:18:35
21ノーリツ2:18:37
22ルートインホテルズ2:18:43
23愛媛銀行2:20:40
24クラフティア2:21:44

🏅 区間賞一覧(第45回 全日本実業団女子駅伝)

区間選手名チーム名タイム
1区(7.0 km)水本 佳菜エディオン21:30
2区(4.2 km)西山 未奈美三井住友海上13:14
3区(10.6 km)五島 莉乃資生堂32:54
4区(3.6 km)K. カロライン日本郵政グループ10:38
5区(10.0 km)細田 あいエディオン32:12
6区(6.795 km)佐々木 梨七積水化学21:13

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