星新一「ボッコちゃん」

こんにちは。ミサゴパパです。今回は星新一先生の「ボッコちゃん」です。

この作品は中学生の頃に読んだものですが、最近になって再読しました。

星新一の代表作のひとつである「ボッコちゃん」は、ショートショートの名作として多くの人々に読み継がれています。この物語は、誰もが一度は経験したことのある、ある種の無力感や孤独感を描き出した作品です。

物語の主人公であるボッコちゃんは、全く人間らしくない風貌の、誰からも理解されず孤独な存在です。しかし、彼女が持つ一つの特技である「曲がった木を曲げる」ことが、彼女の孤独感を少し和らげてくれます。この特技を見せることで、彼女は周囲の人々から注目を浴び、一時的には愛される存在となるのです。

しかしその後、彼女は再び孤独に戻ります。周囲の人々は彼女を利用し、彼女自身は自分が何のために生きているのかわからなくなってしまいます。最後には、彼女が持つ特技を使いすぎたことが原因で、彼女自身が曲がってしまうという悲しい結末を迎えます。

この物語は、人間の持つ心の葛藤や、孤独や無力感をテーマにしています。ボッコちゃんは、人間にとって自分自身の存在意義を問いかける象徴的な存在とも言えます。彼女が持つ特技である「曲がった木を曲げる」という力は、人間が持つ想像力や創造力を表しているように感じられます。

また、物語は人間の弱さやエゴイズム、そして社会の中での価値観の問題を浮き彫りにしています。ボッコちゃんが孤独な存在である理由は、彼女の外見が社会的な美的感覚から外れていたからです。このことは、私たちが「美しいもの」や「普通のもの」を崇拝する社会の中で、外れ者となることがどのような苦痛を伴うものであるかを物語っています。

また、ボッコちゃんの父親が「機械」に執着する姿勢を持っていることも、本作品のテーマの一つとして描かれています。父親は機械が好きすぎて、仕事で失敗したときには、自分で作った機械を叩き壊してしまいます。しかし、それでも機械への執着をやめることができず、ボッコちゃんにも機械を与え、彼女が「機械の王様」と呼ばれるようになってしまいます。

このように、本作品では機械と人間の関係や、科学技術の進歩によって生じる問題などがテーマとして扱われています。また、ボッコちゃんが経験する冒険や、彼女と父親との心の交流なども描かれており、幅広い読者層に楽しめる作品となっています。

また、星新一の独特な文体やストーリー展開も、本作品の魅力の一つです。ボッコちゃんが機械を使って様々なトラブルを解決する様子は、非常にユニークで、読者を引き込む力があります。また、作者の緻密な設定や、意外性のある結末も、読者を驚かせることでしょう。

全体的に、『ボッコちゃん』は科学技術や機械、そして家族の絆について考えさせられる作品であり、そのユニークなストーリー展開や意外性のある結末によって、多くの読者を魅了することができると思います。

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