ミサゴパパです。今回は辻村深月氏の「かがみの孤城」です。映画化もされている小説です。面白くて、そして泣ける作品です。(以下ネタバレあり)
表紙からとても幻想的な子ども向け小説かと思われましたが、実際には大人にも深い感銘を与える作品でした。個々には理由があり、学校に行けない子どもたちが集められた城で彼らは交流し、徐々に大人へと成長していきます。ただし、この作品は単純に自立するという結末に留まることはありません。
親が子どもに対してどう接すれば良いのか、その不器用さが上手く描かれています。意見をはっきりと述べられる子のほうが正しいと思いがちですが、言葉にできない子どもの想いに気づき共感することが重要であると痛感しました。
次元を超えて集まった子どもたちが、後半ではそれぞれの伏線がつながりを持つ展開に引き込まれます。この城での経験があったからこそ、彼らの現在の生活を想像することができます。特に喜多嶋先生はアキの大人の姿でした。子どもの心を理解する素敵な大人になっていて、そのことを喜ばしく思います。
作品の構造は何重にも重なっており、自分自身も同じような経験をしていたのかもしれないと思わされ、少し不思議な気分を味わうこともあります。
読了後には作品の余韻に浸ることができる素晴らしい作品であり、週末にぴったりの一冊だと感じました。
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