下村湖人 「次郎物語」

こんにちは。ミサゴパパです。今回は下村湖人の名著「次郎物語」です。

次郎は士族・本田家の次男として生まれ、幼少時から尋常小学校の校番の妻であるお浜の元に里子に出されました。お民は「孟母三遷の教え」をまねて、次郎を教育的配慮からお浜の元に預けたのです。その結果、次郎は母よりもお浜に懐き、実家を敬遠するようになっていました。

次郎が戻された実家は、彼にとっては居心地の悪い場所でした。祖母のおことは次郎を露骨に差別し、恭一や弟ばかり可愛がりました。次郎は当てつけに喧嘩やいたずらを繰り返し、お民から説教を受けることもありました。しかし、父親の俊亮や祖父の恭亮、お民の実家である正木家の人々に見守られながら、次郎は成長していきました。

おことの差別待遇は改まらず、次郎は正木家に引き取られました。やがて恭亮が亡くなり、お民は結核に侵され、俊亮も連帯保証人になった相手が破産したため、次郎はお民の介護をすることになりました。献身的な介護を続けるうちに、親子のわだかまりは解け、次郎とお民は肉親としての思慕を募らせました。

そして、お民は危篤状態に陥りました。ついに迎えた臨終の際、兄弟三人揃って死に水をとり、臨終の宣告の後、お浜に肩を抱かれて号泣し、親族の涙を誘いました。映画版では、一生懸命に母の看病をする次郎に本来なら年齢制限がある夏祭りの踊り子をやらせてもらい、衣装を病床の母に作ってもらうが日に日に衰弱していき、夏祭り当日踊り子衣装を身に付けた次郎を見送った後、お浜に看取られながら亡くなってしまいます。次郎は母の葬儀で泣くことはありませんでした。

この小説は時代背景とともに力強く生きていく次郎の姿が描かれ、私たちにも勇気を与えてくれます。そして日々私たちが生きていく上での指針を示してくれているような気がします。

学ぶことの多い書籍でした。さすが長い間読み続けられてきた名著です。

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