凪良ゆう『汝、星のごとく』感想

ミサゴパパです。今年の本屋大賞に選ばれた凪良ゆう先生の『汝、星のごとく』をやっと読み終えました。

瀬戸内の美しい島で育った高校生、暁海(あきみ)と、自由奔放な母親の恋愛に振り回され、島に転校してきた櫂(かい)。この2人の人生が交錯し、学生時代から30代までの物語が織り成されています。

暁海の父親が不倫している事実。この事実は母親にも知れ渡っており、父親は戻ってこず、愛人との新しい生活を始めます。母親は心が不安定になり、それを放置できない暁海。

一方、櫂の母親はシングルマザーで、男性に依存しやすい性格です。男性が去ると、彼女は自暴自棄になります。櫂も母親を見捨てることはできません。

暁海と櫂はお互いの悩みや背景を共有し、次第にお互いにひかれあい、恋愛関係に発展します。

櫂は漫画家としての夢を追い求め、ストーリーを考え、絵を描く相棒と協力してデビューに至ります。彼は東京に移住し、不確かな漫画家としてのキャリアをスタートさせます。

一方、暁海は母親の支えが必要で地元の島に残ります。遠距離関係が始まり、生活環境の違いから心の距離も広がります。予期せぬ障害が立ちはだかり、2人の関係が揺れ動く中で、お互いに対する思いも変わっていきます。

学生時代、暁海と櫂は順調に歩んでいましたが、一方が成功すると、もう一方に困難が訪れる、という波乱に満ちた人生が彼らを待っています。しかし、お互いの愛情は変わることなく、その繊細な心情が魅力的に描かれています。

人生には順風満帆な時期も、荒波に揺れる時期もあります。暁海と櫂は同じ気持ちを抱きつつも、互いの間に微妙なすれ違いが生まれ、それが人生の一部であることを理解します。

それでも、2人が幸せになる道を模索する姿勢は変わりません。そして、物語には驚きの展開が待っています。家族の問題や個々の事情が島の中で噂され、さらに長距離恋愛や仕事の選択が、愛に満ちた切ないストーリーを織り成しています。この作品は、心に残る一冊となることでしょう。

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