一穂ミチ「光のとこにいてね」

こんにちは。ミサゴパパです。

今回は第168回直木賞候補作&2023年本屋大賞第3位に選ばれた、一穂ミチさんの「光のとこにいてね」の感想です。

古びたアパートの一角で、小学二年生の小瀧結珠校倉果遠は偶然出会いました。結珠は、ママが「ボランティア」と称してこっそりと他の人と会う時間を利用して、果遠とこっそりと交流を深めるのです。団地で育ちながらもシングルマザーとして頑張る果遠と、裕福な家庭に生まれ育った結珠。彼らの服装、食べ物、住まいはまったく異なっていますが、その違いを超えてお互いに惹かれ合っていくのです。

二人は運命に導かれるかのようにして出会い、そしてまた引き裂かれるように別れを経験します。7歳の時、15歳の時、そして29歳という長い年月をかけて、彼らの物語は進行していきます…。

本を読んで感極まることはあまりない私ですが、今回の作品は涙が止まらないほど心を揺さぶられました。一気にページをめくっていくのを惜しむように感じ、物語のラストに近づくにつれて、文字を噛みしめるように読んでいきました。

特に感心したのは、二人の感情が細かく繊細に描かれていることです。ただ単に愛し合うだけでなく、周囲の人々が彼らの存在を認め、互いに尊重し合っている様子が描かれています。これこそが理想的なパートナーシップの在り方だと感じました。物語の先には、二人の将来がどのように展開していくのか、私の心が気になって仕方ありません。

また、長大な物語なのに登場人物の数を最小限に抑えている点も、素晴らしいと思います。物語の軸はしっかりと保たれ、二人の世界に集中することができました。焦点がぼやけることなく、深く物語に入り込むことができたのです。

是非、皆さんも興味がありましたら読んでみてください。オススメですよ。

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